家の中で起こる「子供の事故」を防ぐには?
2020.07.2
住宅には元々安全仕様が備わっていますが、子供の成長に伴ってその仕様が安全上不十分になってきます。
今回は子供にとって危険となる箇所がないかどうか、住宅の再チェックのポイントを考えてみましょう。
屋外への転落
特に注意したい箇所は?
- バルコニー
- ベランダ
- 腰窓
特に注意したいのはバルコニーやベランダ、腰窓からの転落です。最悪の事態も起こりうる最も危険な箇所です。
2歳くらいになると踏み台となるもの(ベッド、椅子などの家具、室外機等)を理解しているので、それらを使って乗り越えてしまいます。窓下やベランダの柵付近に子どもがよじ登れる足場がないかどうかをチェックしましょう。
子供は窓の外に強い興味を持っているので、窓を開けようとします。成長を感じられる行動ですが、落下事故防止のためにも足がかりとなる家具のレイアウトは避ける配慮が必要です。
腰窓の高さとチェストの天端高さが重なってしまうと、掃出し窓のように簡単に外に出られてしまうので大変危険です。サブロックなども自分で解除してしまうこともあるため、常に見ていられない場合は部屋に鍵をかけておいた方が安心です。
落下の恐れがある箇所に手すりを配置しよう!
手すりの高さは、建築基準法(施行令126条)で床面から1.1m以上と定められています。
戸建て住宅は3階以上に適用(施行令117条)されますが、ほとんどの住宅で2階も同じ基準を採用しています。また、乳幼児がすり抜けて落下する事故も起きており、一般的にすり抜けられない間隔の11cm以下で施工されます。
落下の恐れがある窓やバルコニー付近に、家具や設備を配置する場合は、これらの基準を見込んで写真のような手摺を設置する対応をとることができます。

室内での転落と転倒
特に注意したい箇所は?
- ソファ
- ベッド
- 椅子
- 階段
- 網戸
家の中で落下転倒するケースは最も多いと思われます。
打ち身や骨折する事故が起きており主にソファ、ベッド、椅子、そして階段、網戸には注意しましょう。
クッション性のある床材で衝撃を抑える。
子供が成長し何でも自分でやりたい時期になると、繰り返し行動が始まります。
家具の上り下りをはじめ様々な行動を起こします。日常的にリビングにいる時間は長いので、近寄らせない対策は難しいです。毎日のように床に頭を打ち、大きなたんこぶを作ってしまうでしょう。
子供を近寄らせなくすることは難しいので危険度を低くする対策に切り替え、低い家具(座卓、座椅子など)を配置したり、又は床材にクッション性のあるものを敷くことで対応します。

階段にはゲートを設置して侵入できないようにしよう
階段は基本的には一人で降りられるようになるまでは、大人の補助が必要です。
ゲートで侵入できないようにしておくと安心です。
大人用に設置された一般的な階段手すりは段鼻から高さ75~85cmに設置されたものが多く、身長90cm未満だと手を伸ばしても扱いが難しく転落の危険があります。

追加で子供用に高さを下げた手すりを設置することも可能です。
1人のお子様が使用する期間は短いですが、兄弟姉妹が多いまたは高齢者がいらっしゃるご家庭だと選択肢になると思います。
いずれにしても成長し自信がつくと子供一人で降りるようになるので、それまでは大人と一緒に昇り降りしましょう。
網戸の緩みをチェックしよう!
網戸には適度な反発力があります。
子供達がもたれ掛かって遊ぶ光景を目にするのではないでしょうか。子供は同じ行動を繰り返して先のことを予測できるようになると安心して遊ぶようになります。初めはしっかり張ってあったとしても遊んでいると徐々に緩みが出てきます。
下の写真のような縁側の窓やドアは、夏場解放した状態で遊んでいればいずれ破れて外へ転倒しまう危険があります。
繰り返し遊んでいる中で「安全」と認識してしまった場合、子供への説得は難しいものになりますので言葉を理解できるようになるまでは、近づかないようゲートを設置するなどの配慮をしておくと安心です。

挟まりによる怪我
特に注意したい箇所は?
- ドア
- 引き出し
- 棚
- 窓
扉の開閉や出し入れに挟まれる怪我も多いです。
ドア、引出し、棚、窓と稼働するものは何度も開け閉めし、出し入れして遊ぶようになるので手や足の指を挟んでしまうことがあります。
痛い思いをするため「危険」だと認識しやすく早いうちに繰り返さないようになりますが、大きなドアや引き出しだと重量と衝撃も大きいため、大きな怪我や骨折の危険もあります。
ドアクローザーやダンパーを設置しよう!
引き戸であればドアクローザー、開き戸であればダンパーを設置することで開閉のスピードが緩やかになり予防になります。
比較的危険がわかりやすいので早いうちに収まってくる行動ですが、家中にある引き出しは一度全て開け閉めするまでは納得しないのではないでしょうか。

最後に
常に子供から目を離さないでいるのが一番ですが、育児の負担が増えてしまいます。
気をつけなくてもいい安全な環境を作るか、ゲートや戸締りをするなどして近づけないようにしておくと安心です。
子供の成長ともいえる行動を抑えることにもなりますが、不慮の事故にもつながる場所については思い切った対処も必要かと思います。取り返しのつかない怪我はさけたいですね。
お子様の安全な暮らしに役立てられれば幸いです。
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